「下痢」とは、正常な便の水分が6〜7割なのに対して、それ以上の水分量を含む便の状態を指します。冷えや暴飲暴食など日常的な原因で下痢となることが多いですが、疾患や薬の副作用で下痢になることもあります。「いつものこと」と放置せず、できるだけ早めに診察を受けるようにしましょう。
ウイルス感染の影響が多く、特に冬はノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスによる感染症が多く見られます。夏にはカンピロバクターや腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌といった細菌感染が増加します。
特に感染力が強いノロウイルスは、集団感染を引き起こすことが多く、重症化するリスクが高いため、十分な注意が必要です。
大腸疾患によって腸管の水分吸収が減少することで下痢となります。また、甲状腺機能亢進症などの消化器以外の病気が原因となることもあります。カフェインを多く含むエナジードリンクの過剰摂取やストレスも、このタイプの下痢を引き起こす要因となります。
薬の副作用で下痢が起こることがあります。特に抗生物質、免疫抑制薬、プロトンポンプ阻害薬、抗がん剤などが主な原因です。新しい薬を飲み始めてから下痢が続く場合は、その薬の影響が疑われます。診察を受ける際は、服用している薬がすべて分かるお薬手帳などを持参するようにしましょう。
「急性下痢」を発症した場合は、症状の原因を確認するために血液検査や腹部超音波検査を行います。
一方で、下痢が1か月以上続く「慢性下痢」の場合は、大腸カメラ検査を行い、疑わしい部分から組織を採取して病理検査を行います。これにより、多くの疾患に対する確定診断が可能となります。
下痢対策の基本は水分補給です。それでも十分な水分が摂取できない場合は点滴による輸液投与となります。
「感染性の下痢」では、下痢止めの使用がかえって病原体や毒素の排出を遅らせ、症状を悪化させる可能性があります。一方、薬の副作用による下痢では、下痢止めが効果的な場合もありますが、原因となる薬を変更するか、休薬を検討することが重要です。
「炎症性疾患が原因の下痢」を生じている場合、その疾患の治療が必要です。潰瘍性大腸炎やクローン病は治療が難しいとされていますが、症状をコントロールするための効果的な治療法が利用可能です。当院で正確な診断を受け、適切な治療を受けましょう。
また、冷えや特定の食品、アルコールなどが原因で下痢を引き起こす場合は、これらの要因をできるだけ避けるよう心がけてください。